揺らぐエンターテインメント業界のガバナンス
日本のエンターテインメント業界において、ガバナンス不全の問題が再び浮き彫りになっています。
発端は、著名芸能人が起こしたトラブルです。このトラブルには、大手テレビ局であるフジテレビの社員が関与していたという報道もあり、同社の対応の遅さと不透明さが批判を浴びています。親会社であるフジ・メディア・ホールディングス(フジメHD)の株価は低迷し、市場の不信感を露呈しています。
東海東京インテリジェンス・ラボのアナリスト、山田健三郎氏は、広告主が評判リスクを懸念して広告出稿を控える可能性を指摘しています。また、一部記者だけを対象とした記者会見は、株主を軽視している印象を与えかねないと述べています。
物言う株主(アクティビスト)であるライジング・サン・マネジメント(RSM)は、フジ・メディア・HDに対し、第三者委員会の設置による調査と改善策の提示を要求しました。RSMは、同社のコーポレートガバナンスに深刻な欠陥があり、透明性の欠如が株主価値の毀損につながると警鐘を鳴らしています。
こうした中、実業家の堀江貴文氏がフジ・メディア・HD株を取得したと発表し、注目を集めています。堀江氏は過去にニッポン放送株を取得し、フジテレビへの影響力を行使しようとした経緯があります。
今回の騒動は、昨年発覚したジャニーズ事務所の性加害問題と同様に、エンターテインメント業界全体のガバナンス体制の見直しを迫るものです。企業は、透明性と説明責任を向上させ、ステークホルダーからの信頼回復に努める必要があります。