一般社団法人 日本公認不正検査士協会

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パーキンソン病専門老人ホームのサンウェルズ、診療報酬不正請求問題 – 不正検査士の視点からの対策

パーキンソン病専門の老人ホームなどを全国で展開する、金沢市のサンウェルズが診療報酬を不正に請求していたとして、特別調査委員会の報告書が公表されました。

報告書によると、サンウェルズは全国14都道府県でパーキンソン病専門の老人ホームを展開しており、昨年9月、施設で実施する訪問看護事業に関して過剰な診療報酬を請求しているとの指摘に対し、そのような事実はないと回答していました。

しかしその後、サンウェルズは特別調査委員会を設け、調査結果を公表しました。報告書では、訪問看護について、数分しか訪問していないにもかかわらず30分訪問したことにしたり、同行者がいないにもかかわらずいたことにするなどの不正がほぼ全ての施設で行われていたと指摘しています。

不正な診療報酬の請求額は調査委員会の試算で約28億4700万円に上るとのことです。

この調査報告書に対しサンウェルズは、「多大なるご迷惑をご心配をおかけしておりますことを改めて深くお詫び申し上げます。今回の事態に至ったことを深く反省し、全役職員が一丸となり、信頼の回復に努めてまいります。」としています。

また、「調査結果を真摯に受け止め、再発防止策の提言を踏まえた具体的な再発防止策を策定し、早期に実行して参ります。再発防止策及び関係者の処分につきましては、速やかに内容を確定し、改めて公表する予定です。」とした内容の文書をホームページ上に公表しました。

今回の不正請求問題は、社会福祉法人に対する信頼を大きく損なうものであり、早急な再発防止策の策定と実行が求められます。特に、以下の点に着目した対策が重要となります。

1. 内部統制の強化 – 不正検査士の視点

訪問看護記録の厳格な管理・チェック体制の構築:不正検査士は、記録の整合性や矛盾点をチェックし、不正の兆候を早期に発見することができます。

診療報酬請求プロセスの透明化:不正検査士は、プロセスの各段階におけるリスクを評価し、不正が行われにくい仕組みを構築することができます。

内部通報制度の整備・運用:不正検査士は、通報者の匿名性を保護し、安心して通報できる環境を整備することができます。また、通報内容を適切に調査し、不正の早期発見・解決に貢献します。

2. 外部監査の強化 – 不正検査士の視点

会計監査に加え、診療報酬請求に関する専門的な監査の導入:不正検査士は、診療報酬請求の専門知識を活かし、不正リスクの高い箇所を重点的に監査することができます。

行政による定期的な監査・指導の強化:不正検査士は、行政の監査に協力し、不正事例の情報共有や監査手法の改善に貢献することができます。

3. 法令遵守意識の向上

役職員に対するコンプライアンス研修の徹底:不正検査士は、研修講師として、不正事例や不正リスクに関する知識を共有し、役職員の意識向上を図ることができます。

不正行為に対する罰則規定の明確化:不正検査士は、罰則規定の周知徹底を図り、不正行為の抑止力強化に貢献することができます。

4. 利用者・家族への情報公開

訪問看護の内容・時間、診療報酬請求額の透明化:不正検査士は、情報公開のあり方を検討し、利用者・家族が安心してサービスを利用できる環境整備に貢献することができます。

相談窓口の設置:不正検査士は、相談窓口担当者に対し、不正に関する専門知識を提供し、適切な対応を支援することができます。

これらの対策を講じることで、不正請求の再発を防止し、利用者・家族からの信頼回復につなげることが期待されます。不正検査士は、不正リスクの専門家として、これらの対策を推進し、組織の信頼性向上に大きく貢献することができます。

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