一般社団法人 日本公認不正検査士協会

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NEW CFEコラム

品質月間に寄せて ― “品質”と“誠実性”を支えるガバナンスの重要性

毎年11月は「品質月間」とされています。

一般に「品質」と聞くと、製品やサービスの性能、顧客満足度といった“目に見える価値”に焦点が当たりがちです。しかし近年、企業不祥事や不正会計、内部統制の形骸化などが社会的な関心事となっている今こそ、品質を支える組織文化や倫理観に改めて目を向ける必要があります。

品質とは、良いものを作ることだけを指すものではありません。

約束を守り、誠実に業務を遂行し、不正を許容しない環境を整えることもまた“品質”であるといえます。こうした誠実性の品質は、ガバナンスとコンプライアンスの上に成り立っています。

■ 品質とガバナンスは深く関わっています

品質の低下や不祥事の背景には、共通する傾向が見られます。

リスクや課題を指摘しづらい組織風土

内部統制が形だけとなり、本来の機能を果たしていない状態

目標達成を優先するあまり、倫理的判断が後回しにされるマネジメント

「わかっていても言えない」心理的安全性の不足

制度が整っていても、組織文化が追いついていない場合、品質は徐々に損なわれ、不正の温床となり得ます。

■ “品質を守る力”は、組織の風土に宿ります

組織において品質を守り、不正を防ぐためには、次の3つの視点が大切です。

透明性

 情報が適切に共有され、見える形で管理されていること

説明責任

 意思決定の理由や業務プロセスが明確であること

是正の文化

 誤りを認め、改善に向けて建設的に取り組む姿勢が評価されること

これらは、管理部門だけでなく、現場・管理職・経営層を含めた組織全体で育まれていくものです。

■ CFE(公認不正検査士)の役割

ACFE JAPANが育成するCFEは、不正リスクを適切に把握し、改善に向けて組織を支援する専門家です。

不正の予兆を早期に捉える分析力

コンプライアンス教育の企画・実施

内部通報制度の運用支援

再発防止策や統制強化策の策定・助言

こうした取り組みは、長期的な品質の維持・向上にも直結いたします。

■ おわりに

品質は、特定の担当者だけが守るものではなく、組織全体が共有すべき価値観です。

私たちACFE JAPANは、組織が「誠実さを守る仕組み」と「誠実に行動する文化」を育むための支援を、今後も継続してまいります。

品質月間を契機として、組織の内部統制や倫理教育、リスク管理体制を改めて振り返ることが、将来の信頼を守る大きな一歩につながると考えております。

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