高まるコンプライアンスリスク:不正の増加と公認不正検査士の重要性
帝国データバンクの調査が示すように、2024年度の「コンプライアンス違反倒産」は379件に達し、過去最多を更新しました。この数字は、企業を取り巻く不正リスクが年々深刻化していることを明確に示しています。業種別に見るとサービス業、建設業、卸売業などで多発し、違反類型別では粉飾決算が最多である現状は、決して看過できるものではありません。
このような不正の増加は、企業の存続そのものを脅かすだけでなく、社会全体の信頼を大きく揺るがす可能性があります。不正を未然に防ぎ、万が一発生した場合に迅速かつ適切に対応するための体制構築は、現代の企業にとって急務と言えるでしょう。
不正対策の第一歩は、健全な企業文化と倫理観の醸成です。経営層が率先してコンプライアンス遵守の姿勢を示し、従業員一人ひとりが高い倫理意識を持つことが不可欠です。内部通報制度の整備や定期的な研修の実施も、不正の早期発見と抑止に繋がります。また、内部監査部門の強化や、ITシステムを活用した不正検知の仕組みを導入することも有効です。
しかし、どれほど予防策を講じても、不正が完全に根絶されるわけではありません。不正が発生してしまった場合には、迅速かつ専門的な調査が求められます。ここで重要となるのが、不正調査の専門家である公認不正検査士(CFE)の存在です。
CFEは、不正の兆候を早期に発見し、証拠を収集・分析し、不正の手口や原因を特定するための専門知識とスキルを有しています。法務、会計、調査といった多岐にわたる分野の知識を駆使し、客観的かつ効率的に不正調査を進めることができます。また、調査結果に基づいて再発防止策を提言することで、企業のガバナンス強化にも貢献します。
今回の調査結果からも明らかなように、巧妙化する不正の手口に対応するためには、専門的な知識と経験を持つCFEの存在が不可欠です。不正リスクの高まりを認識し、その対策と発生時の対応能力を強化することは、企業の持続的な成長と信頼確保に繋がる重要な投資と言えるでしょう。
出典元: 帝国データバンク(https://www.tdb.co.jp/report/economic/20250415-compliance/)