老人ホームの歪んだ現実:現場と経営陣の溝が深まる
東証プライム上場の「サンウェルズ」で起きた不正事案は、連日のニュースが報道するように、不正請求を巡る企業の調査報告書が突き付けた、厳しい現実を反映しています。東証プライム上場企業「サンウェルズ」は、現場の不正を認めつつも、経営陣は関与を否定しました。しかし、過剰な目標設定や形骸化したマニュアルは、現場に無理を強いた経営陣の責任を示唆していると言えるでしょう。
同社のビジネスモデルは、訪問看護の診療報酬に依存しています。時間と人数を偽り、入居者よりも利益を優先する実態が明らかになりました。不正発覚後も、時間稼ぎの指示が出るなど、現場の混乱は続いているそうです。
この問題は、サンウェルズに限ったことではありません。訪問看護の診療報酬制度自体に、不正を誘発する構造的な問題がある可能性も指摘されています。
では、どうすればこのような不正を防ぐことができるのでしょうか?
まず、 透明性の確保 が重要です。訪問看護の実施状況や請求内容を、外部から監査できるような仕組みが必要です。また、 内部通報制度の強化 も不可欠です。職員が不正を報告しやすい環境を作ることで、早期発見・防止につながります。さらに、 倫理教育の徹底 も重要です。職員一人ひとりが、コンプライアンス意識を高め、不正を許さない文化を醸成していく必要があります。
そして、 診療報酬制度の見直し も検討すべきでしょう。現場の実態に即した制度設計にすることで、不正が行われにくい環境を作る必要があります。
高齢者福祉の現場で、不正が横行することは決して許されません。関係者は、今回の問題を深刻に受け止め、再発防止に向けた取り組みを強化していく必要があります。